「BSアンテナを室内に設置したい」
「外に設置するよりも、安定して番組が見られるのか不安」
といった悩みを抱えている方もいるでしょう。この記事では、BSアンテナを室内に設置することは可能なのか、リスクや条件について解説しています。また、BSアンテナの選び方も紹介しているので、あわせて参考にしてください。
BS/CSアンテナは室内に設置できるがリスクもある
結論から申し上げると、BSアンテナは室内に設置可能です。室内に設置すれば、アンテナを外気や気候の劣化、破損による向きのズレなどのリスクから守られ、外観もすっきり保てます。ただし、詳細は後述するとして、設置と快適な番組視聴には条件があり、室内設置のBSアンテナには以下のようなリスクも伴います。
アンテナは大きいため部屋が手狭になる
代表的なデメリットとして、アンテナの設置スペースが必要なため、部屋が手狭になる可能性があります。
BSアンテナは小さくても30cm〜40cm以上です。さらに、アンテナを固定するためのスタンドも必要で、さらにスペースを取ります。窓際は換気などで頻繁に行き来する場所にアンテナを置き続けると、わずかな位置のずれでテレビが映らなくなるので注意してください。
屋外に比べると快適に受信できない
BSアンテナは電波の遮断に弱いため、アンテナを屋内設置した場合、窓ガラスを通すだけでもある程度の電波が遮断されます。先述したように、二重窓やペアガラスの場合、電波の完全な受信ができないことも珍しくありません。
テレビ視聴時には窓を開けておかなければ、快適にBS放送を楽しめる可能性があります。このため、暑い季節はともかく、寒い季節は非常に困難になるでしょう。
複数台のテレビの視聴には限界がある
室内にアンテナを設置する場合、複数台のテレビでの視聴は非常に厳しくなる可能性があります。屋内環境では元々電波が弱いため、分配器を使っても視聴が困難になることや、まったく映らなくなるリスクもあります。
したがって、複数台のテレビを使用する場合、室内設置は推奨されません。
BSアンテナを室内設置するための条件
BSアンテナに限らず、アンテナは条件さえ合えば室内に設置できます。ただし、室内に設置する場合には通常の屋外とは環境が異なるため、所定の条件に合致しなければ快適な視聴はできない点に注意が必要です。
ここでは、BSアンテナを室内に設置した上で、快適に視聴するために満たす必要がある条件を紹介していきます。
日光が差し込む場所であること
BSアンテナはパラボラアンテナ型で、受信において方角が非常に重要です。特に、午後2時前後に日光が差し込む場所にアンテナを設置すると、比較的快適に視聴できるとされています。
BSアンテナは通信衛星を利用して電波を受け取るので、その衛星が位置する南西の方向に向ける必要があります。この指標が設置の目安です。
周りに遮蔽物や障害物がないこと
BSアンテナに限らず、アンテナを室内設置する場合に注意しなければならないのが、遮蔽物・障害物の有無です。
この場合の遮蔽物・障害物とは、例えば他のマンションやビルなどの高い建物、ある程度の高さがある樹木や電柱、時には洗濯物なども含まれます。屋内では電波が遮断され、既に弱まっている電波がさらに遮蔽物や障害物によって遮断されると、映らなくなるリスクが一般的な状況よりも高まるのです。
このため、屋外設置と比較して、室内設置では遮蔽物や障害物の影響がより重大な問題となります。
ペアガラス・二重窓がないこと
BSアンテナを屋内に設置する際に注意すべき点は、窓が二重窓やペアガラスでないかどうかです。室内設置では遮蔽物の影響が重要で、電波が遮断されテレビが映らなくなる可能性が高まります。
たとえ南西の方向にあり、午後2時前後に日が差し込む窓であっても、ペアガラスや二重窓の場合は、窓自体が電波を遮断するリスクがあります。
室内設置するBSアンテナの正しい選び方
BSアンテナにはさまざまな種類があります。室内への設置という特殊な用途の場合、選び方を間違えると視聴環境を整えられない危険性があります。ここでは、室内設置を前提としたBSアンテナの選び方を解説します。
アンテナのサイズは45型
BSアンテナは、一般家庭で室内に設置する場合は、直径45cmのディッシュを持つ45型のものが推奨されます。インターネットなどで販売されているより小型のBSアンテナもありますが、これらは実用性に欠ける可能性があるため、少なくとも45型以上のサイズ(パラボラアンテナの最小サイズ)がおすすめです。
取り付け金具は不要
BSアンテナは屋外設置を前提に販売されることが多いため、通常は外壁やベランダの手すりに取り付ける金具がセットになっています。屋外に設置するときは、このセットが便利です。
しかし、室内設置の場合は取り付け金具の使用は不要です。無駄な費用を避けるため、取り付け金具がセットになっている商品は選ばない方が良いでしょう。また、自立スタンドとケーブルが含まれる「室内設置用アンテナセット」も市販されています。
専用チューナーが必要なケースもある
地上波デジタル放送用チューナーとは別に、BS/CSや4K、8K放送の視聴には専用チューナーが必要です。この専用チューナーの有無は、テレビのリモコンで確認できます。
テレビのリモコンに「BS」「CS」「4K」「8K」といったボタンがある場合は、テレビに専用チューナーが既に組み込まれています。しかし、これらのボタンがない場合は、別途専用チューナーの購入が必要です。
BSアンテナの室内設置に必要な機材や工具
BSアンテナを室内に設置する際、屋外設置よりは簡単ですが、それでも工具や機材が必要です。しかし、必要な機材や工具を的確に準備すれば、一般の人でも設置が可能です。
以下では、BSアンテナを室内に設置するために必要な機材や工具について詳しく解説します。
BSアンテナ本体と電源
まず、必要不可欠なBSアンテナ本体を用意することから始めます。近年製造販売されている新しいアンテナであれば、基本的には4K8K放送にも対応しています。
ただし、中古ショップやリサイクルショップ、ネットオークションで古いアンテナを購入する場合、これらが4K8K放送に対応していない可能性があるため注意してください。
BSアンテナの電源供給は必須で、通常はテレビまたはブースターから行われます。しかし、電源の供給方法はメーカーによって異なるため、適切に設置しても電源が来ないこともあります。このため、説明書を熟読することが重要です。
アンテナ専用スタンド
屋外では、アンテナは屋根に設置する屋根馬やベランダの手すりなどに取り付け金具で固定されますが、室内設置の場合は専用スタンドを使用して立て固定します。したがって、取り付け金具がセットになっている商品を選ぶ必要はありません。
専用スタンドやケーブルなど、固定と配線に必要なアイテムがセットになった「室内設置用アンテナ」は、選ぶ手間が省けるためおすすめです。
アンテナケーブル(同軸ケーブル)
テレビは、アンテナ本体とテレビ本体をつなぐアンテナケーブル(同軸ケーブル)によって映像が伝送されます。アンテナケーブルには複数の種類があり、4K8K放送の視聴を考慮している場合、4K8K対応のケーブルを選ぶことで、通常の放送も一緒に視聴できます。
また、「室内設置用アンテナ」にはアンテナケーブルもセットに含まれていることが多いです。
ドライバーやスパナなどの工具
アンテナ本体とスタンド部分の取り付けやケーブルの接続などで、スパナやドライバーといった工具が必要になることがあります。
特殊な工具は不要で、一般的に家庭にあるもので十分対応可能ですが、工具がない家庭や扱いに慣れていない方は、説明書を参考にして必要なものを一から揃えると良いでしょう。なお、「室内設置用アンテナ」の場合、簡易的な工具がセットになっている場合があります。
衛星放送用インジケーター
電波受信感度を測定できる「衛星放送用インジケーター」を用意すると便利です。室内にアンテナを設置する場合は、電波の受信感度が重要です。設置する際は、逐一電波受信感度をチェックしながら、慎重に設置場所や向きを調整する必要があります。
ただし、受信感度はテレビの設定画面(アンテナレベル表示)でチェックも可能です。必須ではありませんが、テレビと接続後に設置場所を移動すると手間がかかるため、設置段階での測定が効率的です。衛星放送用インジケーターは1,000円程度から購入可能なので、そこまでのコストにはなりません。
方位磁石やコンパスアプリ
室内でのアンテナ設置において大切なのは、アンテナの角度調整です。日の光を目安にしてもよいですが、より正確な方角を知るためには方位磁石(コンパス)やGPSに基づくコンパスアプリが役立ちます。
特にBSの場合、方角がわずか1度でもずれると映らない可能性があるため、慎重に行うことが重要です。例えば、日本アンテナのスマホアプリ「BSコンパス」など、衛星の方向を確認できるアプリやサイトが多数あるため、そうしたものも活用してみましょう。
BSアンテナを自分で室内設置する手順と流れ
ここからは、BSアンテナを自分で室内設置する具体的な手順と流れを紹介します。
設置の際はなるべく天気の良い日を選ぶ
電波は、悪天候の影響を受けやすいといわれています。悪天候は避けられないものですが、初めて室内にアンテナを設置する日は、できれば天気の良い日を選びましょう。
設置段階では電波受信感度が特に重要になるため、電波受信環境が最も良い条件とされる晴れの日を選ぶと、設置場所の選定にも確実性が増します。また、最初に示した条件である「午後2時前後に日の当たる場所」に適合するかどうかも、当日にチェックできます。
BSアンテナ本体と専用スタンドを組み立てる
次にアンテナ本体とアンテナスタンドを組み立てます。アンテナ本体の組み立て方法は、メーカーやモデルによって細かい部分が異なります。一般的には、ディッシュ(お皿の部分)の裏にある金具にコンバーターアームをボルトで固定するだけです。
スタンドはポールと台座に分かれており、ネジで固定したり回転させて調整したりして組み立てます。アンテナは約1.5kgの重さがあるので、落下には注意してください。
BSアンテナと専用スタンドを仮固定する
専用スタンドを設置候補地におおよそ置き、アンテナを仮固定します。後で細かく位置や向きを調整するために、ボルトを強く締めずにアンテナ本体を手で左右に動かせる程度で十分です。
BSアンテナとテレビをケーブルで接続する
次に、アンテナとテレビをアンテナケーブルで接続してください。具体的には、BSアンテナのコンバーターアームにアンテナケーブルを接続し、そのケーブルの反対側をテレビの裏面にある「BS/110度CS」入力端子に接続します。
接続場所を間違えたり、アンテナケーブルに無理な力を加えたりすると故障の原因になりますので、作業は説明書やマニュアルを参照しながら慎重かつ丁寧に行いましょう。
アンテナレベルを確認しながら慎重に方角を合わせる
最後にアンテナの向きや位置の調整を行います。先に述べた方位磁石やコンパスアプリ、衛星放送用インジケーターなどを活用しつつ、アンテナの位置や向きを、受信感度が最も高い場所に合わせましょう。
テレビの電源を入れ、設定画面でアンテナレベルを表示させながら、アンテナ本体の位置と向きを手で動かしながら調整し、アンテナレベルが最も高くなる位置を探ります。BS/CS放送の場合、アンテナレベルが50以上の場所が理想です。そのような場所を見つけたら、ボルトをしっかり締めて作業を完了します。
BSアンテナの設置後も映らない場合の対処法
手順通り設置したはずなのに映像が安定しなかったり、途中から映らなくなったりといった場合の対処法について紹介します。
改めて方角を確認する
BS/CSアンテナは角度がわずか1度違うだけで受信できなくなります。設置自体は簡単ですが、角度調整は非常に難しいため、再度慎重に角度調整を行いましょう。「BSコンパス」などのアプリを使用すれば、現在地での最適な方角や角度を効率的に知ることができます。
アンテナ周辺に障害物がないか改めて確認する
BSアンテナを室内に設置すると電波が大幅に弱まるため、アンテナ周囲の障害物が、テレビの受信状態を不安定にしたり、映らなくさせたりする可能性があります。
特に、これまで問題なく受信できていたのに急に受信できなくなった場合、アンテナ周辺に新たに家具を置いたり、洗濯物や小物があるか確認することをおすすめします。
天気の良い日に再度検証してみる
BS放送は地上波に比べ、電波の受信が環境の変化や障害物の干渉により影響を受けやすいです。
一時的な悪天候、災害、突然の夕立などでも受信状態が悪化します。天気が悪い時に受信状態が悪くなった場合は、天気の良い日に同じ条件で再度視聴を試みましょう。
BSアンテナを室内に設置するメリット・デメリット
BSアンテナを室内に設置する場合には所定の条件がありますが、メリットもあります。ここでは、BSアンテナのメリットとデメリットについて紹介します。
BS/CSアンテナを室内に設置するメリット
BS/CSアンテナの室内設置は、簡単にできる上に色々なメリットがあります。代表的なメリットは以下の通りです。
- 工事が簡単&DIYも可能
- アンテナの劣化や落下の危険がない
- 設置に必要な設備も最小限ですみ費用が安く済む
- 壁に穴を開ける必要がなく賃貸物件でも設置可能
室内設置は、屋外設置に比べて特別な土台が不要で、簡単に自分で行えます。これにより、業者に依頼する費用を節約できます。また、外部の悪天候による劣化や破損のリスクが少なく、管理が簡単です。
さらに、賃貸住宅での設置に便利で、壁に穴を開けることなく、簡単に設置できます。
BS/CSアンテナを室内に設置するデメリット
BSアンテナを室内に設置することには、以下のようなデメリットもあります。
- 屋外に比べると受信しずらい
- 複数台のテレビの視聴には限界がある
BSアンテナは電波の遮断に敏感で、室内に設置すると窓ガラスを通る電波も弱まります。特に二重窓やペアガラスでは電波を十分に受信できない可能性が高く、窓を開けていないとBS放送の視聴が困難です。
このため、寒い季節には特に不便を感じる可能性があります。さらに、室内環境での電波の弱さから、複数台のテレビで視聴するのは難しいです。分配器を使用しても、元々弱い電波がさらに分散され、視聴が快適でなくなるか、完全に映らなくなるリスクがあります。
そのため、室内で複数台のテレビを使用する場合は、BS/CSアンテナの室内設置はおすすめできません。
まとめ
以上、BS/CSアンテナの室内設置が可能かどうかや、室内設置のメリット、室内のアンテナ設置の手順や流れなどを網羅的に解説しました。アンテナの室内設置は、一般人でも可能な範囲の作業ですが、アンテナの角度調整や位置調整は非常にシビアであり、その作業で四苦八苦する可能性もあります。
設置がうまくいかない、または少しでも不安がある場合は、アンテナ工事の専門業者に設置を依頼するといいでしょう。